2013.12.25 | コラム | その他

望月は、横浜みどり税の継続になぜ反対したのか。

 平成25年第4回定例会が、12月に開催されました。今定例会の最重要議題の一つが、横浜みどり税の延長・継続判断です。みどり税とは、平成21年度より市民税の均等割りに、地方自治体の課税自主権を行使する形で、他の市町村では類のない上乗せ課税として5年間限定で市民に負担をお願いしてきた税です。金額は、個人は、年間9百円、法人は、均等割り額の9%(規模によって4千5百円~27万円)です。ただし欠損(赤字)法人は、免除されてきました。年間では約20億円、期限切れを迎える26年3月までの5年間で約100億円の税収見込みになる予定です。そして今定例会で、当局側が26年4月以降の更に5年間の本税の延長・継続を議会に、提案して来たことを受けての審議が行われました。次の5か年は、欠損(赤字)法人でも課税免除しない点は、これまでとは違っています。26年度以降は欠損法人の免除をしない予定もあって年間で約25億円程度の税収を見込んでいます。
 条例案は、委員会・本会議と賛成多数で可決されましたのでみどり税は、30年度まで延長されることになりました。審議は、望月の所属する常任委員会に付託されました。そして委員会でも、本会議採決でも望月は、みどり税の継続に反対しました。
 
 なぜ望月は、みどり税の継続に反対したか。もちろん私も本市内の緑を保全することや、均衡のとれた発展の下、緑の豊かな都市づくりを目指すことは大賛成です。ただしそのために何をなすべきか、そして何よりもそのための財源をどこに求めるかで当局と考え方の隔たりがあり、反対致しました。
 皆さまの中には、もしかすると誤解されている方がいらっしゃるかもしれませんので、あえて説明致しますが、本市の緑に関わる取り組みは、みどり税だけを充てているわけではありません。21年度以降のみどりアップ計画の5年間(含む予定分)で、事業費500億円を超える取り組みが展開され、そのうちの約5分の1弱がみどり税相当分です。それ以外は、一般財源が使われています。そしてみどり税は、緑地保全制度による指定の拡大・市による買取り以外にも、様々な事業に充てられています。農薬飛散防止ネット、農地への不法投棄対策や保育園・幼稚園の園庭芝生化などにも使われてきました。
 これまでのみどり税の使途を見ていきますと、上記の防止ネットや不法投棄対策、園庭芝生化など仮にそれが市で進めるべき事業や施策であったとしても、それらの財源に超過課税である本税を充当すべきか望月には、疑問なものがたくさんありました。現時点で当局より示されている26年度以降の緑の取り組み案を見ても、もしやるべき事業だとしても、他の自治体と同じく、市全体の一般財源で賄うべきと思える事業がたくさんあります。みどり税が必要な理由の一つとして、土地所有者からの急な買取り申し入れに備える、と当局は説明していますが、そもそも緑地保全制度における本当に必要な買取りなら、それは市が責任をもって一般財源で行うべきものです。急な買取りに備えるため、一般財源で基金を設けることに、制度上も特段支障はありません。

 「緑を守るためなら年間9百円くらい出してもいいよ」そう言って下さる市民の皆さまが多くいます。そのお言葉は大変ありがたいです。ただ皆さまは、上でご説明した通り緑の取り組みのために、みどり税分9百円以上のお金を出して下さっています。みどり税以外の市民税そして県民税、更には所得税や消費税など、すでに様々な税負担・公的負担をして頂いています。そうしたご負担が巡り巡って集まって、本市で言えば年間約1兆5千億円(平成25年度)の市一般会計となっています。私は、そうした既存の一般財源の中で、市全体の施策にあれかこれかの優先順位を付けて、緑の取り組み施策の財源を確保すべきと考えています。施策の優先順位化です。

 これから消費税その他の公的負担が増えていきます。できるだけ市民の皆さまにご負担をかけずに、市民サービスを充実させることが時代の要請です。おそらく今回、みどり税の継続に賛成した議員も反対した議員も、緑の保全・維持の重要性は全員理解しているでしょう。だからあとは、どこに重点を置くかです。現状の財政運営をどう見ているかだと思います。水漏れ(見直すべき税の使い方)があるけれども、緑が名目となれば、新たな水(税金)を注ぎ込むことを良しとするか。それとも緑のためと言われても、水漏れのあるまま水を新たに注ぎ込むことは、良しとしないか。
 現状でみどり税の継続を認めることは、不十分な行財政改革の取り組みを、当局はもちろん自分たち議会に対しても、許すことになると私は判断しました。無駄な支出中止や時代に合わない施策の見直しを十分することなしに、安易に課税で財源を確保することは、受け入れがたいです。財源確保のためだけに、軽々しく市民に負担を求めてはいけないと強く思っています。だからこそ望月は、みどり税の継続に、緑のためであってもあえて反対しました。

PAGE TOP